アートDX キックオフミーティングを開催しました!(I LOVE YOU プロジェクト 2025)

2025年7月25日(金)、東京藝術大学 上野校舎 本部棟1階にてI LOVE YOUプロジェクト2025【アートDX領域】キックオフミーティングを開催しました。
本イベントはアートDX領域における採択プロジェクトの共有が行われました。

ガイダンスとプレゼンテーション

前半では、アートDX事務局の自己紹介とプロジェクトの概要や年間スケジュール等に関するガイダンスを行い、今後の進め方について共有を行いました。

中盤は、採択者によるプロジェクトのプレゼンテーションが行われ、制作をサポートするアートDX領域のメンター陣から、具体的な懸念点や技術的なアドバイス、今後の展開に向けた提案が寄せられました。

後半には、2026年3月に予定されている成果発表展の会場となる施設の内見ツアーを実施。実際の展示空間を見ながら、各自の展示に向けた構想を深める機会となりました。

採択プロジェクト紹介

ここで、採択者のプレゼンテーションの一部をご紹介します。
それぞれのプロジェクトのこれからの展開が楽しみになる発表が行われました。

後藤 英 (音楽学部 音楽環境創造科 教授)
『Da Viunchi’s Robot — A Will Dwelling in Shadow (ダビウンチのロボット ~影に宿る意志~)
ルネサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチの「ロボット騎士」構想から着想を得たインスタレーション型音楽劇プロジェクト。演者が日本発の外骨格スーツ「スケルトニクス」を装着し、モーショントラッキング技術により音と光をリアルタイム生成します。影と身体が共鳴する空間において光と影、記憶と身体、機械と芸術の交差を詩的に描く実験的作品です。

土田 恭平 (芸術情報センター 教育研究助手)
『3Dプリンタ製樹脂金型による高精度歯車を用いた作品制作の試み』
江戸菊の花が咲いてから様々な形に変化する様からインスピレーションを得た動的オブジェクト「アニマピアンタ」シリーズの制作プロジェクト。江戸時代の人々が静かな花に「動き」を求めた遊び心を現代に継承し、単純な回転運動により生命が宿っているかのような動きの表現を試みます。3Dプリンター製樹脂金型による高精度オリジナル歯車(欠歯歯車、弦巻たが歯車等)の制作により、より多様で複雑な動きの創出を目指していきます。

浜田 卓之 (芸術情報センター 教育研究助手)
『デジタルデータを用いた鋳造のためのプラットフォームの構築
デジタルデータを活用した新しい鋳造技法の確立を目指すプロジェクト。3Dプリンタによる原型出力を活用し、従来の手工芸では不可能な「手ではつくれない」精密で微細な形状の鋳物制作を実現します。小さく細かい形状に着目した鋳造作品制作を通じて、デジタル技術でしか実現できない新しい鋳物表現の可能性を探求します。プラットフォーム構築と作品制作を反復することで、デジタル鋳造技法の体系的なプロセス確立を目標としています。

伊藤 優 (美術研究科建築専攻 金田研究室 修士1年)
『写真の外の肖像
アルバムにある古い写真と最新のフォトグラメトリ技術を融合させ、失われた過去の風景や場所を三次元空間として再構築する新しいアーカイブプロジェクトです。写真に写り込んだ情報から撮影位置や被写体の視点といった「写真の外側」を技術的に推定・可視化し、個人が持つ記録に基づく「ありふれた場所」の価値を見出します。忘れられがちな個人の風景をデジタル空間にアーカイブし、他者と共有可能な新しい記録方法として、思い出との新たな繋がり方を創出する取り組みです。

今後について

今後は各プロジェクトが進行していく中でメンターとの個別面談や中間共有の場を設けながら、2026年3月の成果展示に向けて準備を進めていきます。

アートDXならではの領域横断的な連携や実験が、どのようなかたちで展開されていくのか、今後の展開にご注目いただければ幸いです。