「デジタル3Dアーカイブ アートプレゼンテーション」では、3Dデジタルアーカイブの手法と、デジタル3Dモデルをデジタル空間上で公開する方法を学びます。これらを通じて、デジタル空間上での作品の公開・発信方法の可能性について考えるものです。
WS前半は、物体を3Dデータ化する様々な手法のうち、たくさんの写真データから3D形状を推定するフォトグラメトリという手法を中心に、自分の作品などを持ち寄り体験しました。
フォトグラメトリは大量の写真データをもとに3D形状を復元するので、撮影に時間と手間がかかりますが、その分対象にできる大きさやテクスチャの幅が広いという特徴があります。
WS後半は、デジタル上野の杜やデジタル芸大で公開されているデジタル空間上に3Dモデル化した作品を配置し、アバターを操作しながら作品鑑賞を体験します。
2022年は、デジタル上野の杜が利用しているプラットフォームであるVRChatを実際に体験し、ゲームエンジンUnityを使って3Dデータをデジタル上野の杜の好きな位置に配置しました。
2023年は、学生に陳列館のデジタル3Dモデルを提供し、3Dモデル化した作品を自由に配置したものを、メタバースプラットフォームCluster上に公開しました。作品を置くだけでなく、スケールや向き、配置する数などを自由に扱い、デジタル3Dモデル上に登れるようにすることで、普段は体験することのできない陳列館の視点を楽しむことができました。
バーチャル空間上では実際にスキャンしたサイズよりも、圧倒的に大きなスケールに拡大することも可能です。
フォトグラメトリや3Dスキャンの技術の中にオリジナルの形状を忠実に再現するための様々な工夫があることを学びましたが、一方で必ずしも忠実さにこだわるだけでなく、デジタル空間固有の表現のあり方を追求することができました。
- 秋田亮平
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建築家。東京藝術大学芸術情報センター特任講師。
自身の建築設計活動と並行して、東京藝術大学美術学部建築科にて教育・研究活動に従事。デジタル空間の活用のほか、アナログとデジタルの垣根なく、自らの実践を通して、新たな可能性を模索している。
3Dプリンターと素材の特性を組み合わせた造形手法の研究のほか、工芸的な技法をもちいた建築構法の研究やマグネシアセメントのによるシェルの研究なども行なっている。