『デジタル上野の杜』の制作

「デジタル上野の杜」は、文化・観光の拠点である上野公園をデジタル化することで、リアルだけでなくオンラインでも体験、交流できるプラットフォームの実現を目指すプロジェクトです。 令和3年度「東京都と大学との共同事業」に採択され、東京都政策企画局の支援により、東京大学との共同で上野恩賜公園や施設群の3Dスキャンを行い、デジタルツインの「メタバース」を実現しました。

レーザースキャナーで計測した上野公園は、点群データと呼ばれる位置情報と色情報を持った点の集まりのデータとして記録されます。膨大な点の情報として記述される点群データは、重く扱いにくいのが課題です。

「デジタル上野の杜」ではこれらのデータを活用するにあたり、外部の協力チームの技術で点群データを軽く圧縮することにより、オープンソースのプラットフォーム上で点描の上野公園を体験することが可能になりました。

公開したデジタル空間の活用方法として、学生たちが自身の作品などを3Dスキャンし、「デジタル上野の杜」上に公開するワークショップを開催しています。

また、派生プロジェクトとして、上野公園内に立つ歴史的、文化的な建物の3Dデジタルアーカイブも行っています。2022年度には、京成電鉄の協力の元、旧博物館動物園を3Dデジタルアーカイブ化し、「~京成電鉄 旧博物館動物園駅VR~ デジタル ハクドウ駅-」を公開しています。今後もコンテンツを増やしていく予定です。

秋田亮平
建築家。東京藝術大学芸術情報センター特任講師。
自身の建築設計活動と並行して、東京藝術大学美術学部建築科にて教育・研究活動に従事。デジタル空間の活用のほか、アナログとデジタルの垣根なく、自らの実践を通して、新たな可能性を模索している。
3Dプリンターと素材の特性を組み合わせた造形手法の研究のほか、工芸的な技法をもちいた建築構法の研究やマグネシアセメントのによるシェルの研究なども行なっている。