Geidai 3D Audio Lab / ResonoRemake -Sogakudo-

東京藝大の音響研究室と音楽環境創造科でおこなっている立体音響の配信の取り組みであるGeidai 3D Audio Labの紹介と、建築科との共同でおこなったバーチャル奏楽堂内でオーケストラの演奏を体験できるResonoRemake -Sogakudo- を出展した。

「3Dオーディオ」とは、従来の2チャンネルステレオに加えて、側方、後方だけでなく上下方向にも再生スピーカを設置して立体的な音響を再生する方式である。Geidai 3D Audio Labでは、この方式を用いて、東京藝術大学の奏楽堂の演奏会を臨場感ある音響で再現した作品や、音楽環境創造科のプロジェクト音響亀川研究室で取り組んでいる立体音響作品を、高音質によるインターネット配信技術を用いて公開している。本展示ではこれらの作品の中からいくつかを紹介した。

また、建築科金田研究室との共同でおこなったバーチャル奏楽堂の取り組みのひとつとして、亀川研究室の松村道知が2024年度卒業制作で取り組んだResonoRemake -Sogakudo- は、⼀⼈称視点の映像と、マルチチャンネル音響による体験型⽴体⾳響作品で、鑑賞者は仮想空間内に再現された東京藝大奏楽堂に身を置き、その中で奏でられるオーケストラの「演奏」を自由な位置から聴取できる作品である。奏楽堂内の客席だけなく、舞台上、そして空中…といった奏楽堂内を自由に移動しながら音楽を聴くという、普段体験することのない新しい音楽鑑賞の形を提供した。

亀川徹
九州芸術工科大学音響設計学科卒業。日本放送協会(NHK)にて番組制作業務(音声)に従事し、N響コンサートなどの音楽番組を担当するとともに、ハイビジョンの 5.1 サラウンドなど新しい録音制作手法の研究に携わる。2002年10月より音楽環境創造科に就任。著書に『音を追求する』(2016年、大橋、佐藤編、共著/放送大学教育振興会)、『音響技術史』(2011年、森、君塚、亀川共著/芸大出版)、『サラウンド入門』(2010年、沢口、中原、亀川共著/芸大出版)などがある。AES、日本音響学会、日本音楽知覚認知学会、日本オーディオ協会、日本音楽スタジオ協会会員。博士(芸術工学)。